お医者さんの知恵袋
みどりクリニック 白井 尚 ■おしっこが出にくいのは年のせい?■

医療法人社団敬愛会 みどりクリニック
院長 白井 尚
 http://www.midori-clinic.or.jp/

「おしっこを漏らしたり、夜中に何度もおしっこに起きるから何とかしてあげて下さい」と家族がおじいちゃんを連れて来る場面によく出くわします。こんなとき当のご本人に「おしっこは出にくくないですか?」と尋ねると「もう何年も前からチョロチョロしか出ないよ、年だからね」とおっしゃる方が多いものです。しかし、本当に年のせいでしょうか。答はノーです。高齢男子の場合、前立腺癌や前立線肥大症といった膀胱の出口部で尿道を取り囲むように存在し、精液の一部を作る前立腺の病気が関係していることが多いのです。 前立腺癌はアメリカでは新規癌登録数の第一位で、これまで発生率が低かったわが国でも生活環境の欧米化に伴い事情は一変、世界で最も前立腺癌死亡率の増加している国の一つとなり、部位別癌死亡増加率では肺癌を抑え第一位です。一方、前立腺肥大症は男子の最も多い良性腫瘍で、組織学的には高齢者のほぼ全部に見られ、80歳までには30%が症状を訴えるというありきたりな病気です。 そしてこれは高齢男子の生活の質を損なわせ社会活動をも妨げる大きな要因となります。 前立腺癌も前立腺肥大症も患者さんの訴えは「おしっこが出にくい」 「したのに残った感じで、すぐに行きたくなる」「夜中に何度もおしっこに起きる」 などあまり違いはありません。 しかし、早期の前立腺癌は前立腺肥大症を合併しないと無症状のことも多く、発見には血液の前立腺特異抗原(PSA)の測定が極めて有用です。 「おしっこが出にくいのは年のせい」と決めつけず専門医を受診し、健やかな生活を送られることをお勧めします。
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